日本企業ボトムアップ企業業績見通し集計(20~21年度)
-新型コロナの影響で2期連続減益見通し-

論文2020年9月7日

野村證券 市場戦略リサーチ部 マクロ・ストラテジーグループ

目次

  1. I.要約/業績予想主要前提
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  2. II.業種別・経常増減益寄与率
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  3. III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  4. IV.集計表

Ⅰ. 要約/業績予想主要前提

本レポートは、野村證券アナリストによる企業業績予想を集計し、その集計結果を分析したものである。

【2020年度予想の概要】

  1. 1.アナリストの予想によれば、2020年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比9.5%減収、同19.5%経常減益である。経常利益は19年度の前年度比22.3%減益に続き、2期連続で厳しい業績悪化を見込む。
  2. 2.2020年度の為替レート前提は、ドル円が1ドル106.38円(前回前提107.00円)、ユーロ円が1ユーロ120.35円(前回前提116.00円)と、ドル円を円高方向に、ユーロ円を円安方向に修正した。前回予想と比べると、増収率、経常増益率ともに下方修正となった。新型コロナによる事業環境の悪化を予想に織り込む動きが続き、多くの業種において業績予想の下方修正を余儀なくされた。
  3. 3.上方修正企業と下方修正企業の比率の差を示すRussell/Nomura Large Cap(除く金融)のリビジョン・インデックス(RI)は、2020年9月(対象は6月1日から9月1日)で-23.9%と下方修正超過となった。ただし、RIは2020年6月(同2月26日から5月31日)の-48.0%から改善した。また、対象を20年度第1四半期決算の発表が始まった7月以降に限れば、上方修正企業数は下方修正企業数に迫った。企業数ベースでは、下方修正一辺倒の動きに歯止めがかかった。
  4. 4.2020年度のRussell/Nomura Large Capの配当総額は、前年度比でわずかながら減少する見通しだ。もっとも、予想税引利益が2桁減益であることを踏まえると、可能な限り配当を維持しようとする企業の意志が見て取れる。厳しい事業環境下においても、増配企業の比率は減配企業の比率を上回っている。

【2021年度予想の概要】

  1. 5.アナリストの予想によれば、2021年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比8.6%増収、同49.1%経常増益である。国内外で、新型コロナによって停滞した経済活動が正常化に向かうことを前提として、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)ベースで3期ぶりの経常増益復帰を見込む。
  2. 6.2021年度の為替レート前提は、ドル円が1ドル106.00円(前回前提107.00円から円高方向)、ユーロ円が1ユーロ121.00円(前回前提116.00円から円安方向)に、それぞれ修正した。