日本企業ボトムアップ企業業績見通し集計(20~21年度)
-製造業を中心に業績予想を上方修正-

論文2021年3月5日

野村證券 市場戦略リサーチ部 マクロ・ストラテジーグループ

目次

  1. I.要約/業績予想主要前提
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  2. II.業種別・経常増減益寄与率
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  3. III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
    1. 2020年度予想の概要
    2. 2021年度予想の概要
  4. IV.集計表

I. 要約/業績予想主要前提

    本レポートは、野村證券アナリストによる企業業績予想を集計し、その集計結果を分析したものである。

    【2020年度予想の概要】

  1. アナリストの予想によれば、2020年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比8.5%減収、同3.6%経常減益である。経常利益は19年度の前年度比22.3%減益に続き、2期連続の減益を見込むが、前回予想(20年12月1日時点)と比べると、増収率は1.1%ポイント、経常増益率は14.7%ポイント改善した。ソフトバンクグループの投資ファンド事業の利益が増加したことに加えて、新型コロナ禍からの経済正常化に向けた動きが進み、製造業を中心に従来想定よりも速いペースで需要が回復した。企業が引き続き費用削減に取り組んだことも、業績予想の上方修正を後押しした。
  2. Russell/Nomura Large Cap(除く金融)の20年度第3四半期決算は、前年同期比2.3%減収、同34.8%経常増益であった。一部の企業による保有有価証券の売却・評価益の計上や、前年同期の一過性損失の反動増などの特殊要因はあったが、それらを除いても経常増益であった。
  3. 2020年度の為替レート前提は、ドル円が1ドル105.26円(前回前提105.90円)、ユーロ円が1ユーロ123.01円(前回前提122.13円)と、ドル円を円高方向に、ユーロ円を円安方向に修正した。
  4. 上方修正企業と下方修正企業の比率の差を示すRussell/Nomura Large Cap(除く金融)のリビジョン・インデックス(RI)は、2021年3月(対象は20年12月2日から21年3月1日)で+31.0%と、2020年12月(同20年9月1日から20年12月1日)の+7.2%から一段と上昇した。RIがプラスとなったのは2四半期連続である。
  5. 2020年度のRussell/Nomura Large Capの配当総額は、新型コロナで厳しい事業環境を反映して、前年度比で減少する見通しだ。但し、増配企業の比率は前回(20年12月1日)の集計から6.3%ポイント上昇した。
  6. 【2021年度予想の概要】

  7. アナリストの予想によれば、2021年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比8.5%増収、同28.2%経常増益である。国内外で、新型コロナによって停滞した経済活動が正常化に向かうことを前提に、3期ぶりの経常増益を見込む。従前の予想と比べて経常増益率は縮小したが、これは起点となる20年度予想経常利益が増額修正された影響であり、21年度予想経常利益額も増額修正された。
  8. 2021年度の為替レート前提は、ドル円を1ドル103.00円(前回前提105.00円から円高方向)、ユーロ円を1ユーロ125.00円(前回前提123.00円から円安方向)に、それぞれ修正した。