日本企業ボトムアップ企業業績見通し集計(22~23年度)
-22、23年度とも予想増益率は下方修正-

論文2023年3月7日

野村證券 市場戦略リサーチ部 マクロ・ストラテジーグループ

目次

  1. I.要約/業績予想主要前提
  2. II.業種別・経常増減益寄与率
    1. 2022年度予想の概要
    2. 2023年度予想の概要
  3. III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
    1. 2022年度予想の概要
    2. 2023年度予想の概要
  4. IV.集計表

I. 要約/業績予想主要前提

    本レポートは、野村證券アナリストによる企業業績予想を集計し、その集計結果を分析したものである。

  1. Russell/Nomura Large Cap指数の構成企業を対象に、22~23年度の業績予想の見直しを行った。全業種(除く金融)ベースで22年度予想は、前年度比で16.7%増収、同6.5%営業増益、同8.2%経常増益である。前回の集計(22年12月1日時点)と比較して、増収率は0.4%ポイント上方修正されたが、営業増益率は2.9%ポイント、経常増益率は3.5%ポイント、それぞれ下方修正された。
  2. 増益率の下方修正要因としては、世界景気の減速に伴う需要減少、半導体の供給不足などサプライチェーン問題による自動車生産回復の遅れ、為替前提の円高ドル安方向への見直しなどが挙げられる。また、減損など一過性の損失を計上する企業が散見された。
  3. 23年度予想は全業種(除く金融)ベースで、前年度比0.2%減収、同10.8%営業増益、同4.3%経常増益である。前回の集計(22年12月1日時点)からは、増収率は1.7%ポイント、営業増益率は1.4%ポイント、経常増益率は0.8%ポイント、それぞれ下方修正されている。業績予想の前提となる円ドルレートの円高方向への修正幅(140.00円/ドル→127.00円/ドル)が22年度(137.04円/ドル→134.15円/ドル)に比べて大きいため、外需比率の高い製造業を中心に下方修正額が膨らんだ。なお、増益率を算出する起点となる22年度の予想利益額が下方修正されているため、23年度予想の下方修正の実態は見た目よりも厳しい。
  4. 上方修正企業と下方修正企業の比率の差を示すRussell/Nomura Large Cap(除く金融)のリビジョン・インデックス(RI)は、2023年3月(対象年度は23年度予想、対象期間は22年12月2日から23年3月1日)で-27.1%と、3四半期ぶりの下方修正超過に悪化した。前述の通り、業績予想の前提となる円ドルレートを円高方向に修正したため、製造業を中心に業績予想の下方修正が増加した。