ビットコイン市場分析入門
論文2024年12月26日
野村證券 データサイエンス部/金融経済研究所 水門善之
目次
- I.ビットコイン市場の基本構造
- II.ビットコイン市場の歴史
- III.暗号資産価格の変動特性
- IV.ビットコインのポートフォリオ分散効果
- V.X (Twitter)データを用いたビットコイン市場参加者の解析
要約と結論
米国トランプ前大統領の当選を契機に、ビットコイン価格は最高値を更新した。このような状況の中、ビットコインに対する関心が高まっている。本稿では、ビットコイン市場を理解するために必要な基本的事項を整理し、これまでのビットコイン市場の価格動向を概観する。また、ビットコインの価格変動の特性と市場参加者の特性に関する分析も紹介する。
第I章では、ビットコインの基本構造を解説し、非中央集権型ネットワークの利点やブロックチェーン技術の透明性と信頼性について詳述する。特に、ビットコインの新規供給量を制御する半減期のメカニズムが、暗号資産としての価値維持にどのように寄与しているかを解説する。第II章では、ビットコイン市場の歴史を振り返り、黎明期から現在に至るまでの重要な出来事を4つの期間に分けて紹介する。特筆すべき点として、コロナ禍を経て急上昇したビットコイン価格や、仮想通貨業界の信用不安と価格の急落について詳述し、ビットコイン市場の変遷を理解するための基礎を提供する。第III章では、ビットコインを含む各種暗号資産の価格変動特性を他資産と比較し、独立性やリスク特性を分析する。これにより、暗号資産がマルチアセットの分散投資においてどのような役割を果たすかを示唆する。第IV章では、ビットコインのポートフォリオ分散効果を検証し、主要なマルチアセットポートフォリオにビットコインを組み込むことで、投資パフォーマンスがどのように改善されるかをシミュレーションを通じて示す。最後に、第V章では、X(旧Twitter)データを用いたビットコイン市場参加者の解析を行い、ソーシャルメディア上の感情分析を通じて市場のセンチメントを把握する手法を紹介する。これにより、ビットコイン市場における人々の関心や取引動向を理解するための新たな視点を提供する。