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アメリカPGAツアー 世界最高峰の舞台への長く険しい道のり

男子ゴルフで世界最高峰の舞台と言えるのがアメリカPGAツアー。「マスターズ」や「全米オープン」などの4大メジャーを筆頭に、ほぼ毎週トーナメントが開催されています。

「予選」は4段階で最大270ホール。「枠」はわずか5つ。

このPGAツアーへの出場資格を得るためには、長く厳しい道のりを突破しなければなりません。「Qスクール」は、「プレ」「ファースト」「セカンド」「ファイナル」の4段階で構成される予選会で、9月から12月まで足かけ4カ月をかけて開催されます。翌シーズンのPGAツアーに参戦できるのは「ファイナル」を勝ち抜いた5位タイまで。6位以下の選手はまず2部に相当する「コーン・フェリー・ツアー」を主戦場に、その翌シーズンのPGAツアー出場権が得られる年間ポイントランキング30位以内を目指します。

日本ツアーからの"昇格"に立ちはだかる問題

日本からアメリカへの進出を夢見る選手も、まずは日本男子ツアー(JGTO)でプロゴルファーとしての戦いをスタートさせるのが通常のパターンです。一定の活躍を重ね、いよいよPGAツアーへステップアップ、となった時に立ちはだかるのがスケジュールの問題。Qスクールに挑戦するためには9月以降の日本ツアーを多く欠場しなければなりません。さらにプロゴルファーは遠征費用が自己負担。日本ツアーで賞金が稼げないのに渡航費用がかさむ…。これはなかなか厳しいものです。

そこで選手が目指すのが「日本ツアーの賞金ランキング1位、または世界ランキング50位内」というポジション。これにより、選手はプレ、ファースト、セカンドが免除され、ファイナルからの挑戦が可能になります。なおこの資格はファイナルステージのエントリー締切時点(今年は11月13日)でのランキングをもとに与えられます。

Qスクールを経ない「別ルート」

一方でこんな「別ルート」も。
2023年から、欧州ツアーの年間ポイントランキング上位10人に翌年のPGAツアー出場資格が与えられることになりました(すでにPGAツアーの出場資格を持っている選手は含まず)。そしてこの欧州ツアーへの出場資格は、日本男子ツアーの年間賞金ランキング3位以内の選手に与えられます。つまり、日本男子ツアーで賞金ランキング3位以内、欧州ツアーでポイントランキング10位以内、とステップアップしていけばQスクールを経ずにPGAツアー参戦が可能になるのです。

とは言え、欧州ツアーの年間王者はローリー・マキロイ、3位もジョン・ラームといった世界ランキング1位経験のある猛者が揃います。その中でルーキーながらも9月の欧州ツアーで優勝した久常涼選手が年間ランキングで17位に。有資格者を除くと10番目となり、見事に来シーズンのPGAツアーの出場資格をゲットしました。

PGAツアーでの成績で出場資格を得られるケースも

スポット参戦したPGAツアーの試合で好成績を収めることで「メンバー外で、ポイントランキング125位(シード権のボーダーライン)以上を獲得した選手」もまた、翌シーズンのPGAツアーへの参戦権を手にすることが可能です。

こうして出場資格を得たのが、石川遼と松山英樹。石川は2012年のPGAツアーで2位と9位に、松山は2013年の「全米オープン」10位、そして「全英オープン」では6位と好成績を収めています。少なくとも優勝争いを複数回数することが求められますが、実際に優勝していきなりPGAツアーのメンバーとなったのは小平智。2018年「マスターズ」の翌週に出場した「RBCヘリテージ」でプレーオフの末に優勝を果たすと「翌々年のシーズン終了までのシード権」を手にしました。

このようにさまざまなルート(手段)がありますが、どれひとつとして「これが行きやすい」というものはありません。だからこそ、世界最高峰のメンバーが集うツアーとなっているのです。

文:森伊知郎

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