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1月4日にハワイで開幕
2024年のアメリカPGAツアーはここに注目

2024年のアメリカPGAツアーが1月にハワイで開幕するのにあわせ、今回はシーズンの見どころや選手たちが戦う意外な"相手"についてご紹介します。

開幕戦の名物は400ヤードドライブ

シーズン初戦の舞台はハワイ、マウイ島。2024年シーズンから新設される、ポイントランキング50位以内の選手やシーズンの優勝者などに出場資格が限定された「シグネチャー大会」のひとつ、「ザ・セントリー」(1月4~7日)が開催されるのは、カパルア・プランテーションコース。ここの名物は18番パー5です。667ヤードとツアー最長級のホールはティーイングエリアからグリーンへ向けて30メートル超も打ち下ろすため、400ヤードを超すビッグドライブが続出。2023年はルーク・リストの459ヤードを筆頭にシーズンの飛距離記録6位までこのホールで記録されました。

2戦目の舞台は日本人初V達成のコース。今年は?

開幕戦への出場権を持たない多くの選手は翌週(1月11~14日)にオアフ島で開催される大会がシーズン初戦となります。1983年に青木功さんが日本人として初めてPGAツアー優勝を達成したのが、この「ソニーオープン」(当時はハワイアンオープン)です。1打ビハインドで迎えた最終日の18番パー5。残り128ヤードからの3打目をカップインさせ、イーグルで逆転勝利したシーンは今でも「伝説」として語り継がれています。2022年には、松山英樹が同じホールでのプレーオフで、残り276ヤードの2打目をピンそば1メートルに乗せると、圧巻のイーグルで優勝を遂げました。会場はホノルル郊外にあるワイアラエCCで日本人観客も多い場所。2024年も日本人選手の活躍に期待です。

プロがアマチュアを「おもてなし」する3戦目

ハワイから西海岸に移っての3戦目「ザ・アメリカンエキスプレス」(1月18~21日)はプロとアマチュアがペアを組んでプレーするユニークな形式の試合です。多くのプロゴルフ大会では本戦前に「プロアマ戦」が行われ、出場選手がスポンサー関係者などと一緒にプレーし「おもてなし」をします。通常プロアマでの成績は本戦には関係しませんが、この大会ではスコアがそのまま採用されます。さらに予選ラウンドは3日間にわたり(ほとんどの大会は2日間)各日違うコースを回る特殊なフォーマットなうえ、一緒に回るアマチュアへの考慮から設定がやさしめで激しいバーディー(イーグル)合戦となるのも特徴。これまでのツアーで12例しかない「50台」のスコアが複数回数出ている唯一の大会でもあります。

4日間で70万人が来場する大会

2月8~11日に開催される「WMフェニックスオープン」の会場はアリゾナ州のTPCスコッツデール。名物は約2万人収容の巨大スタンドが取り囲む16番パー3です。お酒を飲みながら観戦する人たちの声援の大きさはジェット機の離陸時並みで、好プレーには大歓声を送る代わりに、ピンを狙わない安全策を取る選手には大ブーイングが浴びせられます。また日本のスポーツイベントでは想像もつかない規模の観客が集まるのも特徴。その数は4日間で70万人超!なかでも3日目には20万もの人が来場します。一番盛り上がるのは優勝が決まる日曜日では?と思うかもしれませんが、この日はアメリカスポーツ界最大のイベント「スーパーボウル」が行われるため、観客数が最も多いのは必ず3日目の土曜日なのです。

温暖な気候を求めて転戦するツアー。選手が戦う意外な"強敵"たち

3月になると戦いの場は南東部のフロリダ州へ。4月にはメジャー初戦「マスターズ」がジョージア州で行われ、その後気温が上がってくると開催地は中西部や北東部にも広がっていきます。転戦するのは選手や観客が半そでで過ごせる快適な条件を求めてのことですが、これだけ移動距離が長いと日本では想像のつかない"敵"が立ちはだかります。その代表例が芝と土。アメリカ各地の気候を見ると、ハワイは常夏で西海岸は地中海性気候、内陸部には砂漠のような場所があり、フロリダは亜熱帯性気候なのが、北東部は温暖湿潤気候。これだけ変わると芝や土壌もかなり違ってきます。特に短い距離を打ち分けるウェッジは繊細な感覚が要求されますが、西海岸でフィットしたものが東海岸では全くダメ、ということが珍しくないので、急に成績を落とす選手がいる…かもしれません。

さらに、広いアメリカでは「時差」という敵も。たとえば西から東に移動すると時計は3時間進みます。つまり、東海岸で朝7時スタートだとすると西海岸では4時に相当するということ。時差に慣れるまでは大変です。ちなみにアメリカでは3月の第2日曜日からサマータイムに移行します。朝2時に切り替わるため寝る前に時計を1時間進めておく必要がありますが、ごく稀に設定を間違えて遅刻する選手がいます。ゴルフ競技はスタートに5分遅刻したら失格。もし「アーノルド・パーマー招待」(3月7~10日)最終日に不可解な失格をした選手がいたら、うっかりの寝坊が原因かもしれません。

最長と最短の両方がある全英オープン

メジャー開催コースに目を向けると、例年7月に行われる「全英オープン」は英国内にある14コースでローテーション開催しています。そのなかで最長のパー5(6番、601ヤード)と最短のパー3(8番、123ヤード)の両方があるのが、2024年の会場となるロイヤルトルーン。「The Railway」の愛称を持つ11番パー4は線路が右サイドを平行して走ります。483ヤードと距離がある上に、すぐ横を頻繁に列車が通ることから集中力が要求され、18ホールのなかで最難関。特色のあるホールが多いコースでの試合は、景色を見るのも楽しそうです。

文:森伊知郎

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