東日本大震災からの復興とこれからの未来 ~SDGsへの貢献~

東日本大震災において発生した地震・津波に、福島第一原子力発電所の原子炉損傷に伴う原子力災害が重なる複合災害事故からの復興を進める中、安全性や効率性に十分に配慮しながらSDGs債への投資を行っている浪江町と、2020年度以降、ソーシャルボンドを継続的に発行し、今年度からサステナビリティボンドの発行を開始した独立行政法人都市再生機構によって、SDGs債市場の更なる発展を目指したエンゲージメント対談が行われました。

はじめに

近年、ESG に関する意識の高まりとともに、債券市場におけるESG 債の割合が急速に高まっています。ESG債は、ソーシャルボンドであれば社会的課題の解決に、グリーンボンドであれば環境課題の解決に、サステナビリティボンドであればその双方に繋がるため、投資家の立場から見ると、償還が予定された上で利回りを得られる債券としての商品性に、これらの課題解決への貢献という動機が加わることになります。

独立行政法人都市再生機構(UR)が今年度から発行を開始したサステナビリティボンドを浪江町が購入し、浪江町より投資表明がなされました。浪江町とURは東日本大震災からの復興支援事業で繋がりがあり、この事業上の関係から、2024年1月15日に浪江町役場において、浪江町の吉田 栄光町長とURの中島 正弘理事長のトップ対談が行われました。対談では、中島理事長から吉田町長に対し、この度の債券購入に対する感謝の気持ちを伝えたほか、URが浪江町で実施する復興支援事業等について意見交換が行われました。

都市再生機構 中島理事長

都市再生機構 中島理事長

浪江町 吉田町長

浪江町 吉田町長

このような流れを受け、2024年2月14日に浪江町役場において、浪江町とURの実務者レベルでエンゲージメントが行われる運びとなりました。

参加者

浪江町 独立行政法人
都市再生機構(UR)
野村證券株式会社
  • 会計管理者兼出納室長 中野 隆幸氏
  • 企画財政課 課長 吉田 厚志氏
  • 産業振興課 課長 蒲原 文崇氏
  • 市街地整備課 課長 今野 裕仁氏
  • 財務部 次長 平澤 博之氏
  • 財務部 担当課長(市場金融担当) 川村 洋平氏
  • 東北震災復興支援本部 福島復興支援部
    浪江復興支援事務所 所長

    清水 和仁氏
  • サステナブル・ファイナンス部 担当部長 相原 和之

相原:

本日はエンゲージメントミーティングという形で、東日本大震災からの震災復興支援事業にて深い関わりのある浪江町様と都市再生機構様より、それぞれのご紹介並びにSDGsの取り組み等についてお伺いします。まず、都市再生機構様より事業内容についてお聞かせください。

都市再生機構 平澤次長

都市再生機構 平澤次長

平澤氏:

当機構は、戦後の高度成長期、都市部への人口流入が引き起こした住宅不足解消のために設立された日本住宅公団からスタートし、以来60年以上にわたり、時代時代の社会課題に向き合いながら、まちづくり、くらしづくりを通じて社会的価値を生み出してきた組織です。ダイニングキッチンなどの新しい住宅様式の提案による良好な住環境の整備、再開発や区画整理等の事業手法を駆使した都市の魅力や防災性の向上など、政策課題、地域課題の解決に努めてきました。

当機構の事業は大きく3つの柱で構成されています。

まず1つ目の柱は都市再生事業です。都市の国際競争力の強化や、防災性の向上など、安全で魅力あるまちづくりに向けて都市再生を推進しています。また、地域経済の活性化やコンパクトシティの実現に向けた地方都市の再生にも力を入れています。これまでのまちづくりの経験により蓄積されたノウハウ、政策実施機関としての立場や権能を活かして、地方公共団体の皆さまと強固なパートナーシップを築きながら、まちづくりを支援しています。
2つ目は賃貸住宅事業です。UR賃貸住宅にお住まいの方々の安全、安心、快適な住まい環境を整備するのはもちろんのこと、少子高齢化やコミュニティの希薄化といった団地を含む地域の社会課題に対応するため、住民活動の支援や、地域に求められる施設の誘致など、地域関係者の皆さまと連携して、多様な世代がいきいきと暮らし続けられる住まい・まちの実現を目指しています。
3つ目の柱は東日本大震災からの震災復興支援事業です。東日本大震災の発災後、当機構は被災地域における復興支援を最優先業務と位置付け、発災直後から現地に職員を派遣して復旧支援にあたり、その後、浪江町様を含む26の被災自治体から委託を受けて復興まちづくりを推進してきました。津波被災地域における復興市街地整備事業および災害公営住宅整備事業については、2021年度までにすべての地区で事業が完了しました。2021年度から始まっている第2期復興・創生期間でも、引き続き福島県の原子力災害被災地域において、国や被災地方公共団体と連携し、ハードとソフトの両面から支援を行っています。

相原:

都市再生機構様の幅広い事業について理解ができました。震災復興支援事業において、ここ浪江町様におかれる事業についてもご紹介いただけますでしょうか。

都市再生機構 清水所長

都市再生機構 清水所長

清水氏:

福島県の原子力災害被災地域は人口・経済活動ゼロからの復興であり、URは、浪江町、双葉町、大熊町の3町において復興拠点整備事業支援や建築物等整備事業支援のほか、交流人口・関係人口の拡大や賑わい創出のための地域再生支援といった、ハードとソフト両面の施策を組み合わせながら復興まちづくり支援を推進しています。ここ浪江町では、3地区で復興拠点の整備を支援しており、棚塩地区においては、2017年に産業団地整備事業を受託、2020年3月に宅地の引渡しが完了しました。また、南産業団地においては、2019年度に基盤整備に係る発注者支援業務を受託し、こちらも2022年度に支援が完了しています。

今現在は、浪江町中心市街地全体の復興・再生のため、その先導整備範囲である浪江駅周辺地区において「浪江駅周辺グランドデザイン基本計画」の実現に向け、復興拠点整備事業に係る執行管理や総合調整、基盤整備を受託し、事業を推進しています。また、これに加えて、まちづくりに関する情報を発信し、かつ地域の交流施設として活用できる場として、情報発信・交流スペース「なみいえ」を運営する等、ソフト面での支援も行っているところです。

浪江駅周辺整備によるエリアイメージ(出所:浪江町)

浪江駅周辺整備によるエリアイメージ(出所:浪江町)

なみいえ(出所:都市再生機構)

なみいえ(出所:都市再生機構)

地域のイベント情報等が書き込める大型カレンダー「なみ☆カレ」(出所:都市再生機構)

地域のイベント情報等が書き込める大型カレンダー「なみ☆カレ」
(出所:都市再生機構)

相原:

都市再生機構様の浪江町において取り組まれている事業がよく理解できました。続いて浪江町様から町のご紹介をお願いします。

浪江町 吉田課長

浪江町 吉田課長

吉田氏:

福島県浪江町(なみえまち)は、福島県浜通り(沿岸部)の北部に位置し、双葉郡に属します。1889(明治22)年の町村制施行により誕生した浪江村は、1900(明治33)年に浪江町となり、1953(昭和28)年10月に請戸村・幾世橋村と合併、次いで1956(昭和31)年5月1日に大堀村・苅野村・津島村と合併して、現在の浪江町が誕生しました。浪江町は、海、山、川に囲まれ、豊かな自然が生み出す食の面でも魅力を誇ります。また大堀相馬焼やなみえ焼そばといった名産品でも有名です。

2011年3月11日の東日本大震災により、福島、宮城、岩手を中心とした東日本に甚大な被害をもたらし、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、双葉郡の町村の住民は避難を余儀なくされ、浪江町21,000人の町民は全国に散り散りになりました。

2013年4月に空間放射線量が低い順に、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域が指定され、避難指示解除準備区域、居住制限区域については、除染・インフラ復旧・生活基盤の再生を集中的に進めた結果、2017年3月31日に避難指示が解除されました。避難指示が継続する帰還困難区域については、現在も居住ができませんが、2017年12月に帰還困難区域の一部を特定復興再生拠点区域に設定し、国による除染、インフラ復旧を進め、2023年3月31日に避難指示が解除されています。

浪江町区域図(出所:浪江町)

浪江町区域図(出所:浪江町)

更に2024年1月には特定帰還居住区域復興再生計画が国に認定され、帰還困難区域の解除に向けた取組を一歩ずつではありますが進めています。現在も多くの町民が福島県内外での避難生活を余儀なくされ、ふるさとに戻れずにおりますが、町では、引き続き少しでも早く町民が「帰還できる・帰還したい」と思えるように、国・県と連携し環境整備に取り組んでいます。

浪江町 蒲原課長

浪江町 蒲原課長

相原:

東日本大震災から約13年が経過しましたが、浪江町における影響や現況をよく理解できました。次に浪江町において現在力を入れている事業についてSDGsの観点も併せてご紹介いただけますでしょうか。

蒲原氏:

浪江町は原子力発電所の事故により大きな被害を受けた町ですが、第二次浪江町復興計画に「エネルギー地産地消のまちづくり」を掲げ、原子力や化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの導入推進とエネルギー地産地消によるスマートコミュニティの構築に向け現在取り組んでいます。

浪江町温暖化対策総合計画(出所:浪江町)

浪江町温暖化対策総合計画
(出所:浪江町)

2020年3月には、浪江町において実証実験が行われる再生可能エネルギーにより水素を製造する世界最大級の水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が開所するのに伴い、「ゼロカーボンシティ(2050年二酸化炭素排出実質ゼロ)」を宣言 (PDF 571KB)しています。

また2023年4月には2035年度までにカーボンニュートラルを達成することを目標とした「浪江町地球温暖化対策総合計画~なみえエネルギーチャレンジ2035~」を策定し、エネルギー先駆けのまちを目指しています。1つ1つの小さなチャレンジが、やがて大きなムーブメントになる、そんな姿を私たちの暮らす浪江から、全国や世界へ発信するということを考えています。

浪江町 今野課長

浪江町 今野課長

今野氏:

また別の取り組みとして、福島国際研究教育機構(F-REI)があります。F-REIは、復興庁が中心となり、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力・産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指し、2023年4月に設立されています。同年5月には浪江町とF-REIの包括的な連携のもと、双方の資源を有効的に活用した協働活動の推進により、福島県浜通り地域の復興及び発展、ならびに福島や東北の創造的復興、さらには日本創生の牽引に寄与することを目的とし、連携協力に関する基本合意書を締結しています。

吉田氏:

こうした多様な新たな挑戦が評価され、宝島社が発行する「田舎暮らしの本」(2024年2月号)で発表されました「2024年版 第12回 住みたい田舎ベストランキング」の、「人口1万人未満の町」の2部門(総合部門、若者世帯・単身者部門)で1位を獲得しています。今後とも町では、地域の魅力発信をはじめ、移住定住促進に取り組んでいきます。

相原:

浪江町様において取り組まれている事業やSDGsについて理解ができました。こうした取り組みが町の魅力に繋がっているのだと感じました。つづいて都市再生機構様にお伺いします。都市再生機構様は2020年度からソーシャルボンドを発行され、今年度からはサステナビリティボンドの発行を開始されていますが、その特徴や発行の目的等、SDGsの取り組みと合わせてご紹介いただけますでしょうか。

都市再生機構 川村担当課長

都市再生機構 川村担当課長

川村氏:

当機構は環境に配慮した事業を行っていくため、2005年度に環境配慮方針を策定・宣言し、2019年度から始まった「第4期中期計画」においても、「地球温暖化対策の推進」や「都市の自然環境の保全・創出」などを掲げ、SDGsへの貢献や脱炭素社会に向けた活動を進めてきました。

地球温暖化対策の推進に当たっては、2008年3月に地球温暖化対策の実行計画を定めたUR-eco Plan2008を策定しました。2019年4月に策定した最新のUR-eco Plan 2019では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言などの国際的な潮流の変化や社会の動きを踏まえ、賃貸住宅の建替えに伴うZEH相当仕様の標準化や太陽光発電設備の設置の標準化等の目標を新たに付け加えるべく、2022年7月に一部を改訂しました。2024年には新たなUR-eco Planの策定も予定しています。

次に、サステナビリティボンドの発行についてですが、2020年度に、当機構が実施する事業はすべて社会的課題の解決に資するソーシャルプロジェクトと第三者評価を受けており、また他方で環境面においては前述のとおり15年以上前から積極的に環境に対する取組みを行ってきていたところです。昨今SDGsやESG投資という概念が広く社会に浸透してきたことを受け、当機構が環境に配慮した事業執行をしていることを資金調達にも活用し、さらに当機構のプレゼンスを向上させたいという考えもあり、2023年3月にサステナビリティ・ファイナンスの第三者評価を取得、2023年6月に初のサステナビリティボンド発行となりました。当機構が発行するサステナビリティボンドはグリーン性100%であり、調達資金はすべてグリーンプロジェクトに充当致します。グリーンプロジェクトの具体的な例としては、UR賃貸住宅の改修時における複層ガラス化や屋外空間における植樹、樹木の移植保存、都市再生事業におけるCASBEE取得や自然エネルギー利用等の取組みなどがあります。なお、これらの成果等は、今後レポーティングにより開示していく予定です。

相原:

ソーシャルボンドの発行に加えて、サステナビリティボンドが発行されることによって、従来の社会的課題の解決に寄与だけでなく、環境改善にも寄与するといった点でより投資家様の選択肢が拡充されたと認識していますし、都市再生機構様にとっても調達手段の多様化に寄与するものと考えています。続いて浪江町様が都市再生機構様のサステナビリティボンドへの投資を決断された背景を教えてください。

浪江町 中野会計管理者

浪江町 中野会計管理者

中野氏:

浪江町においては地方自治法の趣旨に則り基金を確実かつ効率的に運用するため、長期運用が可能な資金の一部で債券投資を行っています。また近年、地方公共団体においてもSDGs債を購入し投資表明を行う動きが広まってきていると感じています。浪江町としてもゼロカーボンシティ宣言を行っていることや、国内外に発信できるフィールドがあることから債券購入にあたっても社会貢献していきたいとの考えで進めてきたところです。債券購入においては安全性や効率性を第一に考慮しながらも、「グリーンボンド」・「ソーシャルボンド」・「サステナビリティボンド」といったSDGs債を購入することとし、購入の際には『投資表明』を行い、持続可能な社会づくりへの貢献を国内外に発信していくこととしています。

基金運用における『投資表明』について(出所:浪江町)

基金運用における『投資表明』について
(出所:浪江町)

都市再生機構の債券を選択した背景の一つには浪江町との事業上の関係も後押し材料となりました。都市再生機構とは2017年3月に復興まちづくりの推進に関する協力協定を締結し、棚塩産業団地や南産業団地の整備を全面的にご支援いただいた他、現在も浪江町中心市街地の復興・再生のための、浪江駅周辺整備事業へのご支援をいただいています。従前より注目はしていましたが、2023年度から投資対象である年限の発行が加わったことや、都市再生機構が取り組まれている事業が浪江町の投資方針にも合致したことから投資を判断しました。

相原:

地方公共団体においてSDGs債に投資を行う事例は近年大幅に増加してきています。また双方の事業上での深い結びつきによる理解が投資においても後押ししたことが理解できました。浪江町様からのご発言を受け都市再生機構様からのコメントをお聞かせください。

平澤氏:

当機構は、東日本大震災における復旧・復興支援から得た経験を活かすべく、平時においても、地方公共団体などに対し、事前防災に係る技術的な支援や復旧・復興支援に係る啓発活動を行うとともに、災害発生時には地方公共団体に対して積極的な支援を行っています。先般、発生した2024年能登半島地震においても、応急仮設住宅建設のための技術支援や被災者の方がお住まいいただけるUR賃貸住宅の提供などを行っています。このような事業への賛同も得て、2024年1月時点で50の地方公共団体様から投資表明を頂戴しています。

URふるさと応援プロジェクトのイメージ
(出所:都市再生機構)

URふるさと応援プロジェクトのイメージ
(出所:都市再生機構)

また、当機構は地域の魅⼒を団地の住⺠など都市再生機構が関わるたくさんの⼈たちに発信し、地域の活性化につながるよう自治体の皆さまを応援していきたいという思いから、「URふるさと応援プロジェクト」を進めています。これは、URが「観光に来てほしい」「まちを知ってほしい」「特産品を買ってほしい」といった悩みを抱える多くの自治体とURの団地、エリアマネジメント地区、URのグループ会社施設など、都市部の方々が集まる場をつなぎ、自治体の特産品を販売・観光をPRする機会や場所を提供するものです。2023年9月には「URふるさと応援プロジェクト」の一環として、“ひと”と“まち”のマッチングスペース「まちのたね」を名古屋市にオープンしました(UR賃貸ショップ栄地下街と併設)。これは、地域経済活性化支援を目的とする常設の情報交流施設であり、今まで数多くの自治体様にご出展いただきました。

これらの事業はほんの一例ですが、当機構は社会的課題・環境的課題の解決に資する様々な事業を実施しており、浪江町様はじめ、ご投資いただいた資金を活用して持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

相原:

震災からの復興を進めつつ、地域の活性化を目指すという点で共通の目標に向け取り組まれていることを理解しました。浪江町様より購入の背景等をお伺いしましたが、都市再生機構様に対するご希望などありますか。

中野氏:

浪江町としてSDGs債投資を行う際には資金使途は重視しています。今年度から発行される都市再生機構様のサステナビリティボンドはグリーンプロジェクトに100%充当されると伺っています。浪江町としても、暖冬や猛暑などの気候変動は、豪雨や海水温上昇へとつながるものであり、町の防災や一次産業に関する重要な問題であると考えていることから、投資した資金が実際にどのようなプロジェクトに充当され、どのような効果があったかの開示について期待しています。

都市再生機構債インパクトレポート(出所:都市再生機構)

都市再生機構債インパクトレポート
(出所:都市再生機構)

平澤氏:

当機構は今後も様々な社会課題に向き合いながら、まちづくり、くらしづくりを通じて社会的価値を生み出していく所存であり、引き続きSDGsへの貢献に取り組んでいきたいと考えています。今後カーボンニュートラル等のさらなる推進により、環境面については、投資家様の関心が一層高まるものと考えられます。したがって、将来においても選好される債券であり続けるために、適切なインパクトレポートをはじめとする情報開示の充実に関しては、引き続き様々な可能性を検討していきます。なお、我々は投資家様に当機構の事業がいかに環境的・社会的課題の解決に資するものであるのか、きちんとお伝えし、ご理解いただいた上でご投資いただきたいと考えています。本日実施していただいているエンゲージメントやIRなど、投資家様との対話を通じた相互理解は非常に重要であると認識しており、これからも積極的な対話を心掛けていきたいです。

相原:

最後に、このエンゲージメント対談をお読みになっている方々に向けてコメントをお願いします。

平澤氏:

当機構は、前身の日本住宅公団設立以降、安全・安心・快適なまちづくり・くらしづくりを通じて「人が輝くまち」の実現に貢献してきました。少子高齢化、地域経済の低迷、年々激甚化・頻発化する自然災害など、近年の社会課題はより困難かつ複雑化していますが、我々はこれらの社会課題に挑戦し続けることで、「人が輝くまち」づくりに不可欠な存在でありたいと考えています。そのためには、今まで以上に、地方公共団体の皆さまや、民間事業者の方など多様な主体との連携・協働が重要であり、今後も皆さまとの連携・協働を通じて社会課題の解決を推進していくこと、そして一人でも多くの方から当機構へのご理解・ご支持をいただくこと、これが我々の目指すものと考えています。

吉田氏:

浪江町は現在も新たな取り組みを続けています。大漁旗をはためかせ、大海原を進む漁船。日本一の花の街を目指す農家の人々、水素の地産地消を実現する最先端のテクノロジー、色とりどりのルーツ、色とりどりの夢が渾然一体になった浪江町は日々新しい挑戦が生まれる場所であり、新しい出会いを歓迎し挑戦者をこころよく受け入れる町としてこれからも発展を続けていきます。苦難を乗り越え未来に向かう浪江町に是非とも足を運んでいただけると幸いです。

相原

従来の債券では、発行体様と投資家様が直接顔を合わせ、互いの事業内容や社会的意義について対話する機会を持つことは、一般的ではなかったものと認識しています。現在は、債券市場のうち約4割程度をESG債が占めていますが、この比率は増加基調にあります。野村證券としても、発行体様と投資家様をお繋ぎし、かつ環境課題、社会課題の改善に貢献するESG債のさらなる普及に取り組んでいきたいと考えています。

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