EUにおける自己資本規制へのESGリスク反映の議論
-アクション・プランを示した欧州銀行監督機構-

野村資本市場研究所 磯部 昌吾

要約

  1. 欧州連合(EU)において気候変動問題への関心が増々高まる中、欧州銀行監督機構(EBA)は、2019年12月6日にサステナブル・ファイナンスに関するアクション・プランを公表し、自己資本規制における環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクの反映に関する検討スケジュールを明らかにした。
  2. 気候変動問題への対応には多額の追加投資が必要となることから、銀行の金融仲介機能を通じて、民間資金が気候変動対応に回るように促していく上で、自己資本規制におけるESGリスクの反映は、重要な政策手段の1つとなる可能性がある。
  3. EBAは、自己資本規制の3つの柱におけるESGリスクの反映を検討した上で、欧州委員会等への報告やガイドライン・細則案の策定を行う予定である。特に、第1の柱(最低基準)については、評価の複雑性と潜在的な影響の大きさを踏まえて、2025年6月までという長い評価期間を設けているのが特徴的である。
  4. 欧州の規制当局の見解は一枚岩ではなく、まずはEBAの検討結果が待たれるところである。EUが独自に自己資本規制にESGリスクを組み入れる場合には、EUの銀行の与信行動に影響を与えるであろう。また、EU域外の銀行との間で資本賦課に差が出るようであれば、国際競争上の問題が生じる可能性も考えられ、その場合には他の国においても同様の措置が取られるかが論点となってこよう。EUにおける議論とEU域外への波及の可能性を今後も注視する必要があるだろう。
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