2020年以降の議決権行使助言会社の助言方針改定

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. 代表的な議決権行使助言会社であるISSとグラス・ルイスの2020年議決権行使助言方針改定内容が明らかになった(改定内容の一部の適用は2021年)。ISSの改定は、(1)政策保有先企業出身の社外役員には「独立性なし」の判断、(2)親会社、支配株主の存在する企業に対する独立社外取締役の増員、の2点、そして、グラス・ルイスでは、東証1、2部対象企業に最低1名以上の女性役員登用を要請、(2)政策保有株式保有水準に関する基準の導入(2021年より)の2点である。
  2. 今回の助言方針改定の特徴として、ISSは社外役員の独立性という観点、グラス・ルイスは保有水準という観点から、それぞれ、政策保有株式を議決権行使助言方針に取り入れたことが挙げられる。従来政策保有株式と議決権行使を関連付けることは難しいと考えられていたが、今回の助言方針改定を受け、機関投資家でも同様な議決権行使助言方針を採用するかどうかが注目される。しかし、現状ではその動きが大きく進むとは考えにくく、エンゲージメントの重要テーマとしてより多くの投資家が取り上げることになるであろう。
  3. 社外取締役の増員も重要なテーマである。これについては、全ての企業に3分の1以上の独立社外取締役を求める機関投資家も出始めてきたが、全体としては支配株主や親会社のある企業などに社外取締役の増員を求める動きがさらに進む一方、全ての企業に求める動きが大きく広がるにはなお時間を要すると考える。
  4. 議決権行使助言会社の影響力に関し話題に上ることが多く、2020年に改訂予定のスチュワードシップ・コードにおいても、議決権行使助言会社に対し、十分かつ適切な人的・組織体制の整備とそれを含む助言策定プロセスの具体的な公表などが求められている。その背景には、機関投資家の議決権行使を助言会社が決めている、すなわち、議決権行使助言会社の助言方針をそのまま機関投資家が取り入れているという誤解があると推察されるが、実際には、「機関投資家の議決権行使に対する意見や考え方のコンセンサスが議決権行使助言会社の助言方針」となっているといえるであろう。
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