注目される地方銀行によるグリーンボンドの発行

野村資本市場研究所 富永 健司

要約

  1. 世界の金融市場において、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する投資概念の浸透、パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)等の国際合意を背景に、グリーンボンドの発行が伸びている。日本においても2017年頃からグリーンボンドの発行が増加している。これまで、日本の銀行によるグリーンボンドの発行は政府系金融機関やメガバンク等が中心となっていたが、このたび新たに地方銀行がグリーンボンドを発行した。具体的には、群馬銀行が2019年11月に国内の地方銀行として初めて発行し、その後、名古屋銀行が2019年12月に発行した。
  2. 日本においては近年、ESG金融における間接金融の重要性に対する認識が高まっている。そのような中で、地方銀行は、(1)担当主幹部署の設置、(2)プロジェクトチームの組成、(3)行動宣言や行動憲章の制定、(4)ESG/SDGsを意識した投資方針の制定、(5)ESG/SDGsを意識した融資方針の制定、などの形で取り組みを進めている。
  3. これらに加えて地方銀行は、地方経済・社会の中心的な担い手として、地方創生に関する取り組みも行っており、元々ESG/SDGs金融との親和性が高かったと言える。グリーンボンドの発行は、資本調達面におけるESG/SDGsへの対応という観点で考えることができる。
  4. 群馬銀行と名古屋銀行の発行事例で共通しているのは、規制資本の充実を目的とした社債発行を通じて、(1)組織として注力するESG/SDGsへの取り組みについての資本調達面からの拡充、(2)グリーンボンドの発行による幅広い業態の投資家層へのアクセス、を実現したことである。地方銀行セクターにおいては、ESG/SDGsへの取り組みが進む中で、今後グリーンボンド発行という手法が活用されるようになるのか注目される。グリーンボンドを通じた融資等が、地方銀行ビジネスの活性化へ貢献し、同時に環境・地域社会へのインパクトを創出するのかといった点も今後さらなる議論が求められよう。
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