地方公共団体と地方銀行
-指定金融機関制度の変遷と今後の展望-

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 地方公共団体と地方銀行は、指定金融機関制度等を通じて深い関係を長らく築いており、互いに地域経済社会にとって不可欠な存在となっている。しかし、金融市場環境や地域経済社会の構造が移り変わる中、1990年代後半頃からその関係が変化する傾向が見られている。特に、2010年代半ば頃からの金利水準の継続的な低下も相まって、地方公共団体向けビジネスから距離を置くことを検討する金融機関が出現するなど、かつてに比べて厳しいものとなりつつある。
  2. 地方公共団体が中長期的に行財政の持続可能性を維持する上では、(1)国の厳しい財政状況、(2)地方公共団体による社会保障や公共施設等の適正化といった喫緊の施策への取り組み、といった課題を克服することが必要と考えられる。
  3. 地方経済社会の持続可能性を確保するためには、それらに加え、幅広い意味での地方創生や持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みを進めることも求められる。ただし、地方創生やSDGsも含めた取り組みを、地方公共団体のみで包括的に進めることは困難であり、地方銀行等と連携し、地方が抱える課題を解決していくことが重要である。
  4. 地方公共団体と地方銀行の双方が連携するメリットを感じ、持続的な関係を築くためには、地域をめぐる問題意識の共有、経済合理性の確保、域内の付加価値を創出する取り組みでの協働といった点がカギになろう。そのような観点から、地方公共団体と地方銀行がメリットを感じて連携可能な分野としては、例えば、公共施設等の適正管理、地域中小企業におけるSDGs支援といったものが挙げられる。
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