BOEによる気候関連ストレステスト実施に向けた動き

野村資本市場研究所 林 宏美

要約

  1. 英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、2019年12月18日、英国の大手銀行および保険会社等を対象として、気候変動がもたらす金融リスクに対するストレステストの実施に向けて、その枠組み等を検討するディスカッション・ペーパーを公表した。BOEは、2020年3月18日まで受け付けるパブリック・コメントを踏まえたうえで、2020年下半期に気候関連のストレステストを初めて実施し、翌2021年下半期にテスト結果を公表する方針である。
  2. BOEによる気候関連のストレステストは、毎年実施する通常のストレステスト(ACS)ではなく、2017年より隔年で実施している予備的シナリオ(BES)に基づく。BESでは、経済や金融との相関が必ずしも大きくないものの、金融機関のビジネスモデルに影響を及ぼす長期的な課題に対する、金融セクターのレジリエンスを検証することが目的である。個別金融機関の検証結果の公表は想定されていない。
  3. 気候変動のシナリオとしては、(1)気候変動に関する追加的な政策を早期に実施するシナリオ、(2)追加的な政策の実施が遅れるシナリオ、(3)追加的な政策を実施しない現状維持のシナリオ、という3つが想定されている。テスト参加金融機関は、テスト期間の30年間において、5年ごとの結果をBOEに提出する。
  4. 気候関連のストレステストは、気候変動の影響が中長期に及ぶ点、気候関連リスクの評価手法が標準化されていないこと、気候関連の外部専門評価機関への依存度が高いこと等、いくつもの課題を抱える。これらが解消され、金融監督の重要なツールとして正式に位置付けられるに至るのか、引き続き注視する必要があろう。
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