欧州における金融市場参加者等を対象としたサステナビリティ開示規則

野村資本市場研究所 富永 健司、江夏 あかね

要約

  1. 欧州連合(EU)では、サステナブルファイナンスを推進する一環で、機関投資家や運用会社を含む金融市場参加者等を対象に、サステナビリティに関する開示の充実を促す制度改正が進められている。2019年12月9日には、サステナビリティ開示規則が成立した。
  2. サステナビリティ開示規則の対象者は、金融市場参加者、投資アドバイス及び保険アドバイスを行う金融アドバイザーである。具体的な対象行為としては、サステナビリティ・リスクの考慮、サステナビリティに関する負の影響の検討、金融商品に関するサステナビリティ関連の情報提供等が挙げられる。
  3. サステナビリティ開示規則は、投資プロセスにおいて、サステナビリティに関する考慮や開示の透明性の向上を促す内容となっている。対象となる金融市場参加者等が広範にわたることから、関係者のみならず、域内外の金融市場から注目を集めている。ただし、より具体的な内容は、各金融セクター当局により構成される共同委員会より今後示される技術的助言で明らかになる見込みである上、適用時期が早いもので2021年3月10日とされていることから、現状では欧州におけるサステナブルファイナンス関連の資金フローにも特段の影響は出ていないとみられる。
  4. 技術的助言の策定に先立ち、共同委員会は2020年4月23日、技術的助言案を含む共同コンサルテーションペーパーを発表した。今後、2020年9月1日まで意見募集が行われた後、内容が最終化され、技術的助言が欧州委員会に提出される予定である。こうした動きに関連して、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、サステナビリティ考慮の観点からその影響及び対処等についても今後議論となることも考えられる。サステナビリティ開示規則の導入のインパクトは、共同委員会による技術的助言の内容や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う環境変化の中で各金融市場参加者がどの程度迅速かつ適切に対応可能かによると言える。
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