サーキュラーエコノミーへの移行と金融資本市場

野村資本市場研究所 江夏 あかね、片寄 直紀

要約

  1. サーキュラーエコノミーは、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄といった直線型経済(リニアエコノミー)に代わり、リサイクル、再利用、再生産、省資源の製品開発、シェアリング等を通じて資源をできるだけ循環させていく(サーキュラー)経済モデルである。
  2. サーキュラーエコノミーへの移行は、2010年代半ば頃から世界経済・社会における主要テーマの1つとなっており、地域的には欧州が積極的に取り組む傾向が見られる。移行に際しては、多額の財源を要することが見込まれるため、金融市場が重要な役割を果たすと言える。一部の金融機関が対応策に着手しており、「サーキュラーエコノミー・ファイナンス・ガイドライン」の策定や、サーキュラーエコノミー・ボンドの起債等が行われている。
  3. リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行は、環境・経済・社会の持続可能性を維持すべく、全世界が取り組むことが求められている。サーキュラーエコノミーには、サプライチェーンも関わることから、個々のステークホルダーのみで対応できるものではなく、政府、企業、民間団体、個人、金融機関等が協調して移行を進めることが実現に向けたカギとなると考えられる。
  4. 金融業界は、サーキュラーエコノミーへの移行をビジネスにおける機会として捉え、資金需要に対応できる体制を構築していくことが期待される。サーキュラーエコノミー・ファイナンスが今後どのように進化していくか、引き続き注目される。
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