新型コロナウイルス感染症とサステナブルファイナンス

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 新型コロナウイルス感染症は、世界経済社会に甚大な影響を及ぼし、金融市場の様相も一変させた。感染症対応を目的とした金融商品としては、これまでも予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)のワクチン債や世界銀行のパンデミック債といった事例があったが、今般のような多くの国に急拡大する状況を想定していたわけではないとみられる。
  2. 新型コロナウイルス感染症問題が発生して以降、国際機関を中心に複数の発行体がソーシャルボンドを中心としたサステナブルファイナンス関連の起債に取り組んでいる。同時に、国際金融公社(IFC)、国際資本市場協会(ICMA)、オランダの外部評価機関のサステイナリティクスが新型コロナウイルス関連ソーシャルボンドの資金使途等の考え方を整理、公表している。
  3. サステナブルファイナンス関連の金融市場は、新型コロナウイルス感染症対応に関連する問題が収束しても元には戻らず、これまでとは異なる経路の発展を遂げる可能性があろう。例えば、(1)ソーシャルボンドの存在感の向上、(2)環境・社会・ガバナンス(ESG)の再定義、(3)ESGの「S」の要素に関連する金融規制や監督の強化、である。
  4. サステナブルファイナンスをめぐっては、新型コロナウイルス感染症を通じて、「S」の要素が改めて注目されている。今後、金融市場関係者が、問題収束後の新たな価値観も踏まえた金融商品の開発、基準・ガイドラインの策定・改訂、開示等の投資の利便性向上に向けた取り組み、適切な金融規制・監督体制の構築等を進めることが、サステナブルファイナンス関連金融市場の健全な発展の一助になると想定される。
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