サステナブル・ファイナンスに特化したルクセンブルク・グリーン取引所

野村資本市場研究所 林 宏美

要約

  1. ルクセンブルク証券取引所(LuxSE)が有するサステナブル・ファイナンスに特化したプラットフォーム、ルクセンブルク・グリーン取引所(LGX)は、2019年に世界の証券取引所に上場したグリーンボンドの約3分の1が上場するなど、グローバルなプレゼンスを確立している。2020年4月15日には、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対応を目的としたソーシャルボンド等の上場手数料を同年9月末まで免除する方針を迅速に打ち出したことが功を奏し、ソーシャルボンドやサステナビリティボンドの上場が増加している。
  2. 欧州投資銀行(EIB)が発行する、気候変動への認知度向上を目指す債券(CAB)や、サステナビリティへの認知度向上を目指す債券(SAB)がすべてLGXに上場している点も、LGXのブランド力に際立った貢献をしている。LGXでは、上場要件に、LGXが指定した原則や認証ラベルのいずれかの取得を掲げるなど、既存の原則やラベルを活用し、上場時の追加的な負担を可能な限り少なくしている点も、LGXの活用を後押ししている。なかでも、LuxFLAGの認証ラベルは、ルクセンブルクの官民連携による有機的な取組みの代表的な例である。
  3. LGXがサステナブル・ファイナンス関連のさまざまな情報の集積地、ベスト・プラクティスの集積地としての機能を重要視している点は、ルクセンブルクがサステナブル・ファイナンス・ハブを目指している点とも相俟っている。
  4. LuxSEおよびLGXは、官民連携で推し進めているサステナブル・ファイナンス・ハブを後ろ盾にして、今後もより一層その位置づけを盤石にしていく取組みを進めていくと見られ、今後の展開が注目されよう。
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