サステナブル・ファイナンス・ハブを目指すルクセンブルク

野村資本市場研究所 林 宏美

要約

  1. ルクセンブルクは、サステナブル・ファイナンスにおける競争力強化を梃に、国際金融センターとしての地位向上を目指している。
  2. サステナブル・ファイナンスにおけるルクセンブルクの特徴は、2020年7月に発出されたルクセンブルク国際金融センターとしての2025年に向けたコミットメントをはじめとした官民連携の取組みと言える。官民連携の活用は、低炭素社会への円滑な移行に当たって多額の資金が必要とされる中で、いかに民間資金を効率的にサステナブル・ファイナンスに向かわせるかという課題を解決するに当たって、有効な方策と考えられる。
  3. 同国がサステナブルな金融商品ラインナップの拡充を通じて個人投資家の資金もサステナブル・ファイナンスにシフトさせることを目指していることや、フィンテックを活用したサステナブル・ファイナンスの推進も注目される。
  4. ルクセンブルクは、EUの銀行である欧州投資銀行(EIB)が発行するサステナブルな債券の上場先としてのプレゼンスも活かしながら、サステナブル・ファイナンスに特化したルクセンブルク・グリーン取引所(LGX)の活用、サステナブル・ファイナンスに関する各種認証ラベルの導入、官民連携ファンドの活用、世界初となる再生可能エネルギー・カバードボンド法制の整備など、ルクセンブルク独自のさまざまな取組みを行っている。
  5. ルクセンブルクによるサステナブル・ファイナンスの取組みは、他国の国際金融センターにとっても参考になり得る内容であり、今後の展開が注目されよう。
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