ウィズコロナ時代のソブリンの資金調達
-ソブリンSDGs債の可能性-

野村資本市場研究所 江夏 あかね、富永 健司

要約

  1. 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)により、世界各国の政府の財政支出が膨らんでいる。2020年4月頃から、複数の国が新型コロナウイルス感染症対策の財源を確保すべく、コロナ債と銘打った国債発行を行っており、その中でもグアテマラは、国際資本市場協会(ICMA)のソーシャルボンド原則(SBP)に沿って、調達資金が持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する事業に充当されるソブリンSDGs債として起債している。
  2. ソブリンSDGs債は、2016年12月にポーランドが国(ソブリン)としては初となるグリーン国債を発行して以降、欧州やアジア等のソブリンが起債している。ソブリンSDGs債は、ICMAのグリーンボンド原則(GBP)等に沿って発行されており、発行国は2020年5月末現在、14カ国となっている。
  3. これまで発行されたソブリンSDGs債は、金融市場における、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資への需要の高まりもあり、順調に消化されているようである。とはいえ、新型コロナウイルス感染症問題により、世界の金融市場の先行きを見通すことが従来よりも困難になっている。そのような中、各国政府にとってソブリンSDGs債が今後も有効な資金調達手段となり得るためには、(1)財政規律の維持、(2)SDGs債の原則・ガイドラインに基づいた発行の検討、(3)投資家向け広報(IR)の充実、がポイントになろう。
  4. 新型コロナウイルス感染症問題の収束が未だ見通せない状況下、各国政府の財政運営の舵取りは難しくなりつつある。そのような中、政府がSDGsの達成に向けてコミットしているスタンスを改めて示すことを通じて、より多くの投資家に共感を得られる可能性のあるソブリンSDGs債を適切に活用することが、財政の持続可能性の一助になり得ると考えられる。
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