新型コロナ問題を踏まえた公立病院の持続可能性とソーシャルボンドによる資金調達

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 公立病院は、地方公共団体が地域医療の確保のために開設する病院で、地域における基幹的な公的医療機関として、新型コロナウイルス感染者の受け入れでも中心的な役割を果たしている。
  2. 公立病院は、経営健全化等に努めてきたものの、民間病院では担えない不採算・特殊部門に係る医療等を担っていることもあり、新型コロナウイルス感染症問題が顕在化する前から、既に厳しい経営状況を抱えているケースが多かった。さらに、新型コロナウイルス感染症問題の発生により、国等による支援策が講じられているものの、公立病院の経営状況の悪化が進む傾向が見られている。
  3. 公立病院が経営の持続可能性を維持するためには、新型コロナウイルス感染症問題顕在化前から課題とされていた公立病院改革の取組みや地域医療構想を通じた地域における効率的な医療提供体制の構築に加え、今般の感染症問題を踏まえて大規模感染症等の有事の際に対する医療提供体制の確保等も重要課題となるとみられる。そして、これらの課題に対応するためには、財源確保にもより一層の工夫が求められよう。
  4. 効率的・効果的な財源確保の一手段としては、ソーシャルボンドが挙げられる。諸外国では、主にスペインのマドリード州、ベルギーのワロン地域、フランスの地方金融公社のSFILグループが公立病院や地域医療システムを資金使途としたソーシャルボンドを発行している。
  5. 日本の公立病院向けの財源調達で仮にソーシャルボンドを活用する場合、(1)地方公共団体金融機構によるソーシャルボンド、(2)共同発行市場公募地方債形式のソーシャルボンド、(3)住民参加型市場公募地方債形式のソーシャルボンド、といった選択肢があり得る。
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