コロナ倒産・廃業が懸念される中での新たな起業のあり方への期待

野村資本市場研究所 宮本 佐知子

要約

  1. 新型コロナウイルス(以下、コロナ)は世界経済に大きな影響を及ぼしている。国際通貨基金では、世界経済は大恐慌以来、最悪の景気後退を経験する可能性が高く、回復の力強さに大きな不透明感があるとしている。日本では、コロナ禍に対処するため、経済金融対策が矢継ぎ早に出されてきたが、企業経営を取り巻く環境は急速に悪化している。
  2. 今後は、コロナ禍により収縮した経済活動や企業・家計のマインドが従前の状態に戻りづらい中、売り上げ減から資金繰りに窮する企業が経営難に陥るリスクが特に警戒される。また、経営者の高齢化が進む中、今回のコロナ問題が加わることで、廃業を選択する企業が増える可能性も指摘できる。そのため、一定の業績を上げながら廃業となる企業の経営資源を散逸させないためにも、事業を次世代の意欲ある経営者に適切に引き継ぐための取り組みが重要性を増していよう。また、今あるビジネスを続けていくための支援だけでなく、業態や業種を転換するための支援も必要になろう。
  3. コロナ禍を乗り切るため各企業でさまざまな対策がなされていることは、起業を巡る環境も変えていると考えられる。例えば3密を避けるためのテレワークは、従来のやり方を否応なしに変えざるを得ないものだが、企業側にとっては、もともと計画していた「働き方改革」を加速させる動きとなろう。同時に労働者側にとっては、自らの仕事の進め方や仕事への向き合い方を含めて、意識を少しずつ変えている可能性がある。近年は起業した人や起業を希望する人は減る一方、副業として起業を希望する人は増えており、多様な働き方による新たな起業の形態も生まれている。今後、コロナ禍で収縮した経済を立て直す中では、こうした変化を新たな付加価値創出のチャンスとして育て、社会全体として良い方向へ向けていくことが大事なのではないか。
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