香港取引所が設立を公表したグリーン・サステナブル取引所STAGE

野村資本市場研究所 林 宏美、加藤 貴大

要約

  1. 香港取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing Limited、以下HKEX)は、2020年6月18日、サステナブル・グリーン取引所(Sustainable and Green Exchange、以下STAGE)の設立計画を公表した。STAGEは、サステナブル・ファイナンスおよびグリーン・ファイナンスに関連するデータおよび情報を集積するハブとしての機能を担うプラットフォームとして位置付けられる見通しである。
  2. 香港は、政府の諮問機関である香港金融開発局(FSDC)が2016年5月、「地域のグリーン・ファイナンス・ハブとしての香港」と題した報告書を公表したことを契機に、サステナブル・ファイナンス・ハブとしてのプレゼンス向上を見据えた取り組みが目立つ。
  3. HKEXへの上場が前提であるSTAGEは、香港の証券市場で売買可能なサステナブル・ファイナンス関連商品を一覧できる包括的なデータベースを目指す。HKEXは、2020年7月以降の会計年度から、上場企業に対して環境・社会・ガバナンス(ESG)情報開示を義務付けるなど、発行体による情報開示も強化しており、STAGE設立と合わせて、サステナブル・ファイナンス関連情報の集積が見込まれる。
  4. サステナブル・ファイナンス・プラットフォームとしては、ルクセンブルク証券取引所傘下のルクセンブルク・グリーン取引所(LGX)、ナスダックが設立したナスダック・サステナブルボンド・ネットワーク(NSBN)等が存在する。STAGEが、ESG関連デリバティブを含み、幅広いサステナブル・ファイナンス関連商品の上場を視野に入れるなかで、他のプラットフォームとの差別化をどう図っていくのか、今後の展開が注目される。
Nomuraレポートダウンロード
サステナビリティについてのお問い合わせ
メディアギャラリー