ESG投資:引き続き個人への認知度向上が課題
-個人投資家アンケートに見るESG、ESG投資への関心-

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. 野村證券が実施した、我が国の個人投資家に対するESG、ESG投資に関するアンケート調査(2020年12月公表)の結果を見ると、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)拡大を受けて、約3割が『ESG投資を重視するようになった』と回答した。また、企業のESGへの取り組みに対し、『関心がある』との回答割合が2018年調査(同年12月公表)時と比較して上昇した。
  2. 株式投資におけるESG要素の考慮についての質問では、『投資収益率が重要ではあるがESG要素もある程度考慮する必要がある』と、『ESG要因を考慮することは、持続可能な成長を達成する上で重要であり、投資収益率以上に考慮する必要がある』との回答割合が2018年調査時と比べて上昇する一方、『投資収益率が重要であり、ESG要素を考慮する必要はない』との回答割合は低下しており、証券投資においてESG要因をより重視する傾向が高まっている。
  3. ESG関連金融商品への関心についての質問では、『環境に配慮した企業に積極投資をする投資信託』や『グリーンボンド』など、環境関連金融商品への関心が高まっている傾向が見られた。一方、『ESGに関連した金融商品に関心はない』との回答割合は、過去の調査時に比べ減少しているものの、なお4割を超えている。
  4. 以上の結果からは、個人投資家のESG、ESG 投資への関心は着実に高まっているものの、なお彼らへのさらなる訴求、認知度の向上の余地があると考えられる。そして、ESG投資に対する関心を高めることと、証券投資を長期的な資産形成の手段として意識してもらうことが今後の重要な課題であろう。
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