大学教育投資の産業別収益率
-家計から見た教育投資の価値(2)-

野村資本市場研究所 宮本 佐知子

要約

  1. わが国では大学進学率が50%を超えており、高校卒業後に大学へ進学するライフコースが一般的となっている。大学進学率が高まった一因として、教育を受け学歴を取得することによる経済的インセンティブが考えられる。筆者の計算によれば、大学教育投資の収益率は、男性は6%、女性は8%と高水準であり、家計にとって大学教育投資の価値は高い。
  2. この大学教育投資の収益率は、民営事業所の全産業の平均賃金を基に計算した結果である。しかし、より現実に即して考えれば、産業ごとに大卒者の就業状況は異なり、人員構成や労働時間、給与額にも差がある。そこで、就業産業による違いを観察するため、大学教育投資の収益率を産業別に計算したところ、産業ごとにばらつきはあるものの、大半の産業では4~8%の収益率であることがわかった。
  3. また、この大学教育投資の収益率は、大卒者が卒業直後から60歳まで働く場合の収益率である。しかし、近年は60歳を過ぎても働く人が増えている。そこで新たなシミュレーションとして、60歳を過ぎても働く場合を想定し、大学教育投資の収益率を産業別に計算した。その結果、ほとんど全ての産業で、収益率は上昇することがわかった。
  4. このように、産業別に精査しても、大学教育投資の収益率は大半の産業で高水準であり、その収益率は長く働くことで上昇する。家計にとって大学教育投資は、他の投資可能な資産と比べても、魅力的な投資対象であるといえよう。
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