カーボンプライシングと金融資本市場
-新たなESGの評価軸への期待-

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 温室効果ガス排出量に価格を付ける「カーボンプライシング」が地球温暖化対策の有効なツールとして世界各地で改めて脚光を浴びている。カーボンプライシングは、炭素価格という形で温室効果ガスに係る費用を可視化することを通じて、排出量削減や低炭素技術への投資の促進を目指すものである。カーボンプライシングの種類には、政府によるもの(炭素税、排出量取引等)と民間企業によるもの(インターナルカーボンプライシング)がある。
  2. 世界銀行によると、2020年4月時点で46の国と32の地域がカーボンプライシングを導入(若しくは導入を決定)している。しかしながら、各国・各地域が導入している仕組みに基づく炭素価格の現行水準は、多くの場合、大幅に引き上げない限り、パリ協定の目標達成に向けて必要な二酸化炭素排出量削減が実現しない状況となっている。
  3. 民間企業によるインターナルカーボンプライシングは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終報告書や非営利団体のCDP(旧・カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の気候変動質問書に、インターナルカーボンプライシングの導入への言及がなされていることもあり、実施するケースが近年、増加している。
  4. 金融資本市場でも近年、カーボンプライシングに関するさまざまな取り組みが進められており、例えば、炭素価格の変化による企業利益の影響を分析するツールや将来の炭素価格の推計値を基に主要企業価値の変化を指標化したインデックスが開発されている。
  5. 今後の注目点としては、(1)ESG(環境・社会・ガバナンス)の評価軸としての存在感向上、(2)企業による情報開示の拡充、(3)新金融商品の開発、が挙げられる。
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