拡大する世界のサステナブル投資残高
-米国が世界最大に-

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. Global Sustainable Investment Alliance(GSIA)によれば、2020年(2019年12月現在、日本は2020年3月末現在)の世界のサステナブル投資残高は約35.3兆ドルとなり、前回2018年(2017年12月、日本は2018年3月末現在)の30.7兆ドルから約15%増加した。地域別では米国の残高が欧州を抜いてサステナブル投資残高が世界最大となった。ただし、これは、欧州でサステナブル投資の定義が変更され、最大の投資手法であるネガティブ・スクリーニングの残高が減少したことが要因と一つとなっている。
  2. 投資手法別に見ると、公的年金など長期的な資金運用主体でESG(環境・社会・ガバナンス)要因を考慮、評価するためにESGインテグレーションが拡大し、最も古い運用手法であり、欧州を中心に最も残高の多かったネガティブ・スクリーニングに代わり、運用残高が最多となった。また、残高はまだ小さいものの、サステナビリティ・テーマ型投資の拡大も注目される。
  3. 投資手法を地域別に見ると、最近サステナブル投資が拡大した米国ではESGインテグレーション、歴史の長い欧州ではネガティブ・スクリーニングが、そして、コーポレートガバナンス改革に端を発した日本では議決権行使/インテグレーションが中心である。ただし、世界的にESGインテグレーションの拡大が目立っている。
  4. 評価手法の確立など課題はあるものの、気候変動や人権など、地球規模での解決が求められる課題が多いことや、サステナビリティ・テーマ型投資が株式だけでなく、債券や不動産などさまざまなアセットクラスで実施され、拡大を続けていることなどを考慮すると、引き続きサステナブル投資は世界的に拡大すると考えられる。
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