親子上場の状況(2020年度末)
-4年ぶりに2桁の純減に-

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. 野村資本市場研究所で調べた、2020年度末(2021年3月末)時点での日本の親子上場企業数は、2019年度末(2020年3月末)から11社純減して248社となった。純減は2007年度末以降14年連続であり、純減が2桁となったのは2016年度末以来4年ぶりであった。
  2. 親子上場が解消された理由が多様化してきた。最も多いのはこれまでと同様上場親会社による子会社の完全子会社化であったが、親会社の持分減少による親子関係の解消が増えている。さらに、傘下子会社の統合による上場廃止も見られるなど、企業グループや事業ポートフォリオの再編を進める中で、親子上場の見直しが進められていることが窺われる。
  3. 一方、親子上場の増加の事例を見ると、子会社の新規上場や、既上場企業を新たに保有したり、持分法適用会社を子会社化したものが見られた。これらも、企業グループの競争力強化が主眼と考えられる。
  4. 親子上場企業数は今後も純減が続くと考えられる。純減のカタリスト(誘因)と考えられるものとして、まず、2021年6月に再改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、親会社から独立した社外取締役を3分の1以上(プライム上場企業は過半数)置くなど、上場親会社を持つ子会社に対しより高いガバナンス水準が求められたことが挙げられる。加えて、2022年4月に実施予定の東京証券取引所の市場改革で設置される各市場において、流通株式比率基準が設定されていることにより、上場親会社やそのグループ企業等がグループ戦略の中で上場子会社の保有比率を見直すきっかけになる可能性が考えられる。
Nomuraレポートダウンロード
サステナビリティについてのお問い合わせ
メディアギャラリー