気候変動問題の解決に取り組むクライメートテック
-誰がCO₂削減のためのイノベーションに投資するのか?-

竹下 智

要約

  1. カーボンニュートラル実現のためには、既存の技術だけでは達成困難であり、革新的な新しいテクノロジーの開発・実用化・普及が必要である。その重要な担い手の一つとして、気候変動問題の解決に取り組むスタートアップ「クライメートテック(Climate Tech)」(気候変動に対処する革新的なテクノロジーの開発・事業化を目指すいくつかのセクターの総称)への期待が高まっている。
  2. クライメートテックは、VC投資における新たなフロンティアとなっている。2017年以降のクライメートテックへの投資拡大の背景には、気候変動対策に特化したファンドの設立、著名投資家による大型ファンドの設立がある。
  3. 注目分野として「CO₂除去」および「宇宙ベンチャー」があげられる。前者は化学反応を利用して大気中のCO₂を回収する「DAC(直接空気回収)」や植林が含まれる。後者については、人工衛星技術を活用して気候変動問題へのソリューション提供を試みるスタートアップがある。
  4. この分野では多額の投資を必要とする。スタートアップへの投資に関しては、その事業ステージに合致したエクイティ資金が必要となる。民間に任せることが出来る分野・投資については、出来る限り民間に任せ、政府は規制緩和やルール作りでサポートする、一方民間でリスクの取れない部分については、資金も含め積極的に関与する、そういった国をあげた戦略のデザインが必要であろう。
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