親子上場の状況(2021年度末)
-前年度比29社純減:東証の市場改革で企業再編が加速-

西山 賢吾

要約

  1. 野村資本市場研究所で調べた、2021年度末(2022年3月末)時点での日本の親子上場企業数は、2020年度末(2021年3月末)から29社純減して219社となった。純減は2007年度末以降15年連続であり、純減が2桁となったのは2020年度に続き2年連続である。
  2. 2021年度の親子上場純減は昨年度の11社から大幅に増えた。上場子会社の減少(42社)の要因をみると、最も多いのは上場親会社による子会社の完全子会社化(27社)であり、減少理由の60%強を占める。一方、親会社の持分減少による親子関係の解消は8社(約20%)、その他が7社(約20%)であった。これは、企業グループの競争力強化としての親子上場見直しが続く中で、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場改革や、2021年6月に再改訂されたコーポレートガバナンス・コードにより、上場子会社に対するガバナンス及び親会社に対する子会社上場の説明責任が従来以上に厳しくなったことが要因と考えられる。
  3. 親子上場の増加の事例(13社)を見ると、子会社の新規上場は2021年度の8社から3社に減少した。一方、企業グループの競争力強化を目的に、既上場企業を新たに保有したり、持分法適用会社を子会社化した事例が9社(2021年度は10社)、その他が1社であった。
  4. 今後を考えると、東証の市場改革への対応による親子上場解消はほぼ終了したと見られる。しかし、引き続き上場親会社やグループ企業等がグループ戦略の中で上場子会社の在り方を見直す動きは継続が見込まれる。よって、親子上場の純減が継続するというこれまでの見方を変える必要はないと考える。
Nomuraレポートダウンロード
サステナビリティについてのお問い合わせ
メディアギャラリー