中国のグリーンファイナンス市場の動向
-「3060ダブルカーボン目標」の達成に向けて-
塩島 晋
要約
- 中国では、2024年7月に3中全会が開催され、改革プランが採択された。その中で、2035年までに「美しい中国」の実現を目指すべく、グリーン・低炭素の発展の金融に関する言及、すなわちグリーンファイナンスのさらなる推進が示された。
- 中国のグリーンファイナンス市場は、2015年にグリーンファイナンス体系が構築されたことで、実質的な歴史の幕明けとなった。2016年にグリーンファイナンスに関する法整備が本格的に行われるようになった。そして、習近平国家主席が2020年9月、「3060ダブルカーボン目標」(二酸化炭素〔CO2〕排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までに実質排出量をゼロにする)を表明した。その後の取り組みも通じて、中国の発行体によるグリーンボンドの発行額は、国際基準に適合する分も増えていった。
- 中国による2023年のグリーンボンドの発行額について、国別内訳では2年連続で世界首位になったほか、資金使途別内訳では再生可能エネルギーがもっとも多くを占めている。
- 中国のグリーンファイナンス市場が今後も引き続き健全な発展をしていくための論点としては、(1)グリーンファイナンスも活用して脱炭素に関する目標を確実に達成していくこと、(2)信頼性向上に向けた取り組みの継続、が挙げられる。中国のグリーンファイナンスは、世界の金融資本市場で存在感を有しており、今後の動向が注目される。