ESMAが最終化したESGファンドの名称に関するガイドライン
-グリーンウォッシングの規制強化と社会・環境面の移行の推進-

富永 健司

要約

  1. 欧州連合(EU)の証券市場の監督を担う欧州証券市場監督機構(ESMA)は2024年5月、金融市場におけるグリーンウォッシングのリスクに対応するために、環境・社会・ガバナンス(ESG)及びサステナビリティに関連する用語を使用したファンドの名称に関するガイドラインを含む最終報告書を公表した。
  2. ガイドラインの適用により、資産運用会社は、ESG・サステナビリティに関連する用語をファンドの名称に使用する際、(1)サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の8条又は9条に合致する開示を行う投資額が全体の8割以上であること、(2)除外基準のクリア、(3)その他の基準への対応、が求められることとなる。
  3. ガイドラインの適用にあたっては、SFDRの8条又は9条に合致する開示を行うファンドを中心に広範な影響が見込まれている。具体的には、ガイドラインにおける除外基準による影響について、株式の売却か名称変更が求められる可能性があるとの見方がでている。
  4. 今後の注目点として、(1)市場参加者によるファンドの名称変更等の対応、(2)グリーンボンド市場等における起債環境への影響、(3)トランジションファイナンスに関する基準の提示によるイメージ・信頼性の向上、が挙げられる。今後、ESMAがガイドラインを通じて、金融市場におけるグリーンウォッシングのリスクに効率的・効果的に対応し、社会・環境面の移行をどのように推進していくのか注目される。
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