2025年度地方債計画
-財政健全化と新たな地域課題対応の両立に向けて-

江夏 あかね

要約

  1. 2025年度地方債計画及び地方財政対策では、臨時財政対策債の発行予定額が制度創設以来初のゼロになるといった地方財政の健全化と、「デジタル活用推進事業債(仮称)」の創設、公共施設等適正管理推進事業債の拡充、地方独自の防災・減災の推進及び公立病院の経営改善推進に向けた地方債の創設といった新たな地域課題対応の両立が意識された内容だった。
  2. 2025年度の地方債市場は、引き続き日本銀行による金融政策に大きく影響を受けて展開することが想定される。地方公共団体にとって、最適な起債タイミング、年限、商品性を見通すのは難しい局面が続くとみられるが、日本銀行の金融政策に影響を与え得る、物価・為替動向、主要各国の金融政策・政治環境といった要因も注視することが求められる。
  3. 起債運営の観点からは、日本銀行が2024年7月に決定した長期国債買入の減額計画を通じて、国債のみならず地方債の投資家構成にも影響が及ぶ可能性があることが留意点と言える。このような局面において、地方公共団体が効果的な起債運営を実施するに当たっては、年限の見極めや投資家向け広報(IR)の工夫がますます重要になると考えられる。
  4. 財政運営の観点からは、さらなる財政健全化及び効果的な財源活用が求められるところである。歳出削減・歳入確保を通じた財政健全化に加え、デジタルやEBPM(証拠に基づく政策立案)の活用も通じて、限られた財源を効果的に利活用していくこともカギになる可能性がある。
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