GFANZが公表したトランジション指数の自主ガイダンス案
-実体経済の脱炭素化に向けた新たな指数の設計-

富永 健司

要約

  1. 世界の脱炭素化の推進及び2050年ネットゼロの実現に取り組む金融機関のグローバル連合である「ネットゼロに向けたグラスゴー金融連合(Glasgow Financial Alliance for Net Zero、GFANZ)」は2024年10月、トランジションの情報を含む指数(トランジション指数)についての自主ガイダンス案を公表し、意見募集を開始した。自主ガイダンス案におけるトランジション指数は、実体経済の脱炭素化を支援することを目的として設計されている。本意見募集に関しては、GFANZの組織の再構築に伴い作業が中断されているが、自主ガイダンス案の内容は市場参加者によるトランジション指数の設計において一定の意義がある。
  2. 自主ガイダンス案は、企業のトランジションの取り組みに応じて、(1)気候ソリューション、(2)アライド(1.5℃の温室効果ガス〔GHG〕排出削減経路に適合している企業)、(3)アライング(1.5℃のGHG排出削減経路への移行にコミットしている企業)、(4)インディベロップメント(エンゲージメント等を通じてアライドやアライングに含まれる可能性がある企業)、という分類を示した。その上で、株式及び債券を対象として、(1)トランジション・ポテンシャル指数、(2)トランジション・エンゲージド指数、(3)ネットゼロ指数、の3種類のトランジション指数を提案した。
  3. 自主ガイダンス案の意見募集に関する作業は2025年1月末時点で中断されているものの、仮に最終化に向けた作業が再開・継続される場合、(1)最終文書の内容がトランジション指数を開発する際に市場参加者が参照する基準的な文書となっていくのか、(2)実体経済の脱炭素化が推進されるのか、の2点が注目される。
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