香港・中国本土のグリーンファイナンスを促進する香港タクソノミー

五島 佐保子

要約

  1. 香港金融管理局(Hong Kong Monetary Authority、HKMA)は2024年5月3日、「サステナブルファイナンスのための香港タクソノミー」(以下、香港タクソノミー)を公表した。
  2. 香港タクソノミーの主な特徴としては、コモン・グラウンド・タクソノミー(CGT)や欧州連合(EU)タクソノミー等の主要なタクソノミーとの整合性を高め、香港域外の投資家による投資判断を容易にすることを意図した点が挙げられる。HKMAは、香港タクソノミーの利活用の拡大により、中国本土や香港域外の発行体及び投資家による香港への投資が活性化し、国際的なグリーンファイナンス拠点としての香港の地位が一層強化されることを期待している。
  3. 今後、香港が国際的なグリーンファイナンス拠点としての地位を向上していくための論点としては、2点挙げられる。1点目は、香港タクソノミーの利活用の拡大であり、一般的なタクソノミーに関するマイナス面である運用の複雑化等の要素を軽減し、投資の促進等のプラス面の効果を発現できるかがカギになると言える。2点目は、香港タクソノミーも通じて、香港域外の発行体や、発行体としての事業会社がさらに参入し、香港市場におけるグリーンボンドの発行額が増加するかが注目される。
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