不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)の始動
-ESGの「S」に切り込むフレームワークの策定に向けて-

江夏 あかね

要約

  1. 「不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース」(TISFD)が2024年9月23日、発足した。国際的な情報開示フレームワークを策定した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に続く存在とも言える。
  2. TISFDについては、(1)人権、ウェルビーイング、人的・社会的資本を始めとした不平等や社会関連の課題に統合的にアプローチ、(2)国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」等の企業行動に関する国際基準と整合、(3)TCFD及びTNFDの開示フレームワークの4本柱と整合する形でのフレームワークを策定、(4)国際会計基準(IFRS)財団、Global Reporting Initiatives (GRI)、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)といった基準設定機関等とも連携、(5)設立パートナーに世界的に存在感がある国際機関、国際イニシアティブ、年金基金、機関投資家、事業会社等の様々なステークホルダーが名前を連ねている、といった特徴がある。これらを踏まえると、2026年末に公表予定の開示フレームワーク初版(提言)が意義のある内容になる可能性は十分にあると考えられる。
  3. サステナブルファイナンス市場の観点から、TISFDによる2026年末に公表予定の提言に関する主な注目点としては、(1)環境・社会・ガバナンス(ESG)の「S」の要素の投資判断に役立つ内容になるのか、(2)民間セクターによるソーシャルボンドの発行増加につながるか、が挙げられる。
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