ニューロダイバーシティ×金融
-見えない多様性の評価を通じた包摂社会の実現に向けて-

五島 佐保子

要約

  1. 脳の特性の違いを多様性と捉えて、互いに尊重し社会で活かす、「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という概念が注目されている。社会的に健常者と認識されながらも発達障がいと同様の脳の多様性を有する人材を積極的に採用することで、少子高齢化時代における雇用を確保し得る。こうした人材が特性を活かして働き、職場においてインクルージョン(包摂性)が推進されることで、イノベーションの創出や生産性の向上、さらに企業の競争力強化へつながるとの見方もある。
  2. ニューロダイバーシティに関する企業の取り組みを加速させるためには、投資家が企業に資金支援を行い、企業の活動を評価することが重要である。英国や米国では、ニューロダイバーシティをテーマとしたインパクト投資の事例が出現し始めている。
  3. 今後、金融資本市場がニューロダイバーシティを推進していくための論点としては、(1)インパクト投資指標(定量面・定性面)の設定、(2)エンゲージメントを通じた企業の取り組みの高度化、が挙げられる。
  4. 「金融の力」でニューロダイバーシティの推進を後押しすることは、日本政府による持続可能な開発目標(SDGs)実施の重点事項とされる「包摂社会の実現」に向けた取り組みにも合致する。
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