創業者「野村徳七」 14.「野村商店」を株式会社に改組

『野村商店』

「野村商店」は第一次大戦勃発から大正6年にかけて、着々と財力を貯えたが、6年の末に、将来の大飛躍に備えて、いよいよ株式会社に改組することになった。「株式会社野村商店」の設立は、大正6年12月18日の発起人会において定められ、資本金500万円、全額払込済として、翌19日の創立総会で、取締役に野村実三郎、柴山鷲雄、橋本喜作、それに監査役野村元五郎、監督に野村徳七を選任した。10万株のうち、徳七の7万3,500株を筆頭株主として、野村家の同族の者が9万8,350株と大多数を占めたが、この株式会社設立を機に、徳七は第一線から退き、弟実三郎に実務をゆだねることになった。これより先の12月1日、かねて新築中であった店舗が落成したので、本町2丁目堺筋西入の新店舗に移転した。「野村商店」はここを根拠に、いよいよ大発展期を迎え、財閥形成への道を着実に進んだのである。