気候変動リスクを巡るアセットマネージャーの動向

野村資本市場研究所 板津 直孝

要約

  1. 米国大手運用会社のブラックロックは、2019年2月に公表したレポートで、持続可能なポートフォリオの構築が投資収益を必ずしも損なわないことなどを示すと共に、持続可能な投資はもはやニッチではなく主流になりつつあると指摘した。同社は、ESG投資の中でも気候変動をポートフォリオの重要なリスク要因に位置づけているが、同様な動向は、モルガン・スタンレーとブルームバーグが2018年11月に公表した米国のアセットマネージャーの調査結果からも窺うことができる。
  2. こうした動きの背景にある状況変化として、化石燃料除外インデックスの実績のような運用に係る動向に加え、世界的な気候変動訴訟の増加、中央銀行及び金融監督当局による気候変動リスクの管理強化などが指摘できる。
  3. インベストメントチェーンの最上位に位置するアセットマネージャーは、気候変動をポートフォリオのリスク要因として位置づけ、気候関連の情報開示を投資先企業に対して求めることにより、持続可能なポートフォリオを構築することができる。こうしたアセットマネージャーの特性を踏まえ、気候関連財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)は、アセットマネージャー向けに、補助ガイダンスや情報開示の現状における課題を示している。
  4. アセットマネージャーの顧客であるアセットオーナーは、気候関連のリスク及び機会がどのように管理されているかを理解するに当たって、アセットマネージャーからの報告に依存しているため、アセットマネージャーの気候関連情報開示は、アセットオーナーにとっても極めて重要となる。また、当該情報開示の強化は、ミクロプルーデンス分野とマクロプルーデンス分野における金融監督上の対応に資することにもなる。
  5. アセットマネージャーには、ポートフォリオの気候変動リスクに対するレジリエンス(耐性)を示すことなどを通じて、アセットオーナー及び、中央銀行及び金融監督当局のニーズを満たすことが、一層求められていくことになろう。
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