「ESG債市場の持続的発展に関する研究会」及びセミナー報告

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 野村資本市場研究所では、グリーンボンドをはじめとしたESG債の調査の過程で、2018年2月に「ESG債市場の持続的発展に関する研究会」(座長・高崎経済大学 水口剛教授、以下、研究会とする)を開催し、ESG債市場の課題と安定的・持続的な成長のために求められる対応について、産官学連携の議論を行った。
  2. 研究会では、ESG債及びESG債市場の持続的発展に関する論点として、資金調達手段としてのモチベーション、追加性、プライシング、外部評価、インパクトレポーティング、グリーンボンドからソーシャルボンドへの広がり、日本におけるESG課題等が挙げられた。これらの論点については、2019年6月に発刊された『サステナブルファイナンスの時代-ESG/SDGsと債券市場』(水口剛編著、野村資本市場研究所「ESG債市場の持続的発展に関する研究会」著、金融財政事情研究会)に報告されている。
  3. 研究会の問題意識を確認すべく、野村證券が2019年7月4日にブルームバーグと共催で開催したセミナーで、発行体、投資家等の聴衆を対象にESG債に対する考え方等をアンケート調査した。ESG債市場が発展する上でカギとなるESG債の要素に関する質問では、「インパクトの追求」との回答が最も多く、「市場の育成に向けた取り組み」が続くなど、興味深い結果が示された。
  4. ESG債市場は、金融市場と環境・社会課題が結びついた比較的新しい市場だが、グローバルな長期的課題への取り組みの重要性が増していく中、市場として発展し続けることが期待されていると考えられる。多様な参加者による研究や議論、情報発信等、幅広い取り組みが引き続き求められよう。
Nomuraレポートダウンロード
サステナビリティについてのお問い合わせ
メディアギャラリー