リスク管理高度化への取り組み

2021年の多額損失事案の発生を受けて、当社はリスク管理のさらなる高度化を図るため、リスク管理フレームワークの総合的なレビューを実施しました。当該レビューを通じて、業務運営のあり方、関連部門におけるコミュニケーションや部門間の相互連携、さらに経営リソースの配分等について分析し、組織体制や陣容の刷新を含め、計画的に取り組んできました。

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

    執行側の会議体の変遷 監督側の委員会の設立経緯 行動規範の定期的な見直し
    「統合リスク管理会議」 実務レベルおよび取締役レベルで他社事例も参考に設立を検討  
2021年 【3月末】米国顧客取引に起因する多額の損失事案が発生。市場への影響と当社の損失の最小化を図りながら、ヘッジおよびポジション処理等を実施 新たに4名の社外取締役を選任

「リスク委員会」の新設を取締役会で決定

 
2021年 【10月末】リスク管理高度化推進委員会のもと、具体的な高度化施策の概要を取りまとめた
野村グループにおけるグローバル・リスク管理のさらなる高度化について」を公表
2022年
  • 喫緊の重要な経営課題としてガバナンス体制を稼働させ、必要な経営資源を優先的に投入
  • 具体的なリスク管理高度化施策を策定・実装
  • 完了までに時間を要する長期施策については暫定措置の実装も確認
  • 完了した高度化施策については、継続的な定着や浸透に向けた取り組みにも注力
「グループ・リスク管理委員会」への改組

シニアマネジメントによるリスク管理への関与をさらに強めるべく、統合リスク管理会議を発展的に改組し、「グループ・リスク管理委員会」を設置

  新しく「リスクと正しく向き合う」を野村グループ行動規範に追加
2023年 【8月】高度化施策の大部分を着実に達成したことから、「リスク管理高度化推進委員会」を「グループ・リスク管理委員会」に統合    

「リスクと正しく向き合う」(野村グループ行動規範より一部抜粋)

私たちは、リスクに関する知識を深め、正しく認識・評価し、能動的に管理します。その上で、適切なリスクを取り、お客様への良質なサービスの提供や 野村グループの企業価値向上に努めます。一人ひとりが主体となり、かつ協働して、将来の不測の事態に備えます。

リスク・カルチャー

野村グループでは、リスク・カルチャーをビジネスを維持・発展させていくうえで不可欠な会社の基盤、そして競争力の源泉となるものと認識しています。
多額損失事案の発生を契機とした集中的な各種施策の取り組みでは、当社の理想とするリスク・カルチャーを議論し、リスク・カルチャーの醸成と浸透を恒常的に追求していくための体制を整備し、運用を開始しました。

目指す姿の明文化と発信

  • 2022年3月、野村グループ行動規範に、新たな項目として「リスクと正しく向き合う」を追加
  • リスク・カルチャーを含む企業文化の醸成を重視する当社の姿勢を、各種企画や発行物に組み込み、さまざまな機会に社内外へ発信
  • 健全なリスク・カルチャーを浸透させる鍵として、「チャレンジ、エスカレート、リスペクト」というキャッチフレーズを用いて、グローバルに社内共有を推進

考え方の浸透に向けた取り組み

  • 一人ひとりが、明文化された目指す姿を正しく理解し、日々の業務において実践できるよう、リスク・カルチャーをより一層浸透させるための研修や、地域、部門を横断して多様な意見交換を行うイベント等を実施。これらの取り組みには、多くの役員、社員が参加
  • 採用や課題設定、業績評定等の既存の枠組みにもリスク・カルチャーの要素を組み込み、個人の動機付けを含めた継続的な醸成の仕組みを追加

浸透度の確認と対話の継続

  • 野村グループ従業員サーベイにおいて、リスク・カルチャーに関連する設問を追加して浸透度合いを確認し、かつ経年比較のための枠組みを整備
  • 各種情報を多角的に検証し、対話を通じて当社自身のカルチャーの状況の理解に努めること、また会社としてその努力を継続するための仕組みを追加
イメージ図:浸透度の確認と対話の継続

将来に向けて

リスク管理体制の高度化の推進は、今後も中長期にわたる重要な経営課題の一つです。野村グループは、お客様をはじめとするすべてのステークホルダーのみなさまにさらなる付加価値を提供するため、堅牢かつ高度なリスク管理体制のもとでリスクを適切に管理するとともに、リスク・カルチャーのさらなる浸透を目指し、さまざまな施策に取り組んでいきます。