リスク管理高度化への取り組み

リスク管理高度化の一環として、専門監督機関である「リスク委員会」を新たに設置し、執行から独立した視点からの監督を強化しています。

リスク管理高度化におけるリスク委員会の役割

2021年3月に発生した米国顧客取引に起因する多額の損失を受けて、当社は、リスク管理のさらなる高度化に向けた施策の検討を包括的に行いました。
その上で、リスク管理高度化の重要施策として、取締役会の監督機能をさらに強化すべく専門監督機関である「リスク委員会(英文名称:Board Risk Committee)」を新たに設置し、運営を開始しました。リスク委員会は、取締役会のレベルで、業務執行に対する広範かつ厳格な牽制と監督を行う一環として、より高度で深度あるリスク管理態勢の整備等について、執行から独立した視点からの監督を強化することを目的としています。さらに、執行からの高い独立性を確保するために、リスク委員会は、社外取締役を委員長とし、6名中5名を社外取締役、1名を非業務執行の社内取締役とする委員構成としています。

委員会の役割
  • リスク・アペタイト・ステートメントに対する同意
  • リスク管理フレームワークの主要設計に対する同意
  • リスク環境の分析・検証結果および今後の予測
  • リスク管理全般の執行状況および中長期なリスク戦略の監督
委員会の構成
ローラ・アンガー 社外取締役委員長
島崎 憲明 社外取締役
ビクター・チュー 社外取締役
クリストファー・ジャンカルロ 社外取締役
パトリシア・モッサー 社外取締役
小川 祥司 社内取締役非業務執行

マネジメント・インタビュー

リスク管理高度化への取り組み

野村グループは、持続的成長を目指すうえで、リスク管理の高度化を最も重要な経営課題のひとつと認識しています。これまでに、監督側に社外取締役を中心としたリスク委員会を、一方、執行側にはグループ・リスク管理委員会をそれぞれ設置し、運営を開始しました。また、リスク管理高度化推進委員会を設置し、リスク管理の高度化に向けた取り組みを、経営陣自ら推進しています。また、三線管理体制の強化、拡充に向けた取り組みを具体的に進めています(下図ご参照)。そのほか、全社的なリスク・カルチャーの浸透に加え、ガバナンス、管理体制および業務プロセス等を精査し、具体的な改善につなげる取り組みを推進しています。

リスク管理高度化への取り組み

第一線・第二線・第三線の体制を強化・拡充

三線管理体制の強化・拡充

部門や地域を超えた連携・協働により、判断・決断のスピードを上げ、潜在的なリスクの早期発見を可能にする体制を構築する。

第一線・第二線・第三線の体制を強化・拡充

第一線におけるリスク管理の高度化に向けた具体的な取り組み

第一線におけるリスク管理の高度化に向けた具体的な取り組み

オーナーシップ/アカウンタビリティ

第一線では、さまざまなビジネス・レビューを通じて、事業戦略と実際のビジネスの整合性の確保、ビジネスサイドにおけるリスク・オーナーシップ(リスクの把握等の対応について責任を持って取り組むこと)に対する意識強化、およびアカウンタビリティ(適切に理解し説明する責任・能力)の向上をそれぞれ強力に推進

モニタリング

フロントオフィス内の既存のリスク管理組織を、フロント・オフィス・リスク&コントロールとして統合し、第一線の中で財務・非財務のリスクをグローバルかつ統合的にモニタリングする機能を強化
カウンターパーティのクレジット・リスクをモニタリングする枠組みに加え、担当セールスの役割と責任を明確化し、顧客管理も強化

コミュニケーション

タウンホール・ミーティングやビデオメッセージの配信も活用し、マネジメントが事業戦略からリスク・カルチャーに至るまでさまざまな内容を直接発信し、コミュニケーションを強化

第二線におけるリスク管理の高度化に向けた具体的な取り組み

第二線におけるリスク管理の高度化に向けた具体的な取り組み

委員会機能強化

リスク管理高度化に向けた取り組みの一環として、財務リスクを伴う全てのホールセールビジネスについて、シニア・マネジメントを委員とするコミッティーにおいて定期的なレビューを開始
個別ビジネスについて、年次のポートフォリオ・レビューを実施し、第一線、第二線のリスク管理の枠組みにおいて、リスク・アペタイトに沿った事業運営がされていることを確認

リスク・ガバナンスの強化

リスク・アペタイト・ステートメントを改定し、三つの防衛線による管理体制に関する記載を明確化
さまざまなリスクに対するリスク・アペタイトを定量化し、エスカレーションを含むリミット管理の枠組みを見直し

機能高度化・組織増強

それぞれのリスクを、より適切に計測するため、リスク・メソドロジーを改善
組織・人員を増強し、リスク管理体制を拡大・強化。さらに、各種研修を通じ社員の専門性向上を促進

第三線 内部監査体制および具体的な取り組み

  • 内部統制の有効性および妥当性を確保するため、当社および傘下の主要な子会社に業務執行から独立した内部監査の専任部署を設置し、グループにおける内部監査を実施しています
  • 内部監査部署の業務執行からの独立性を確保するため、内部監査に係る実施計画および予算の策定については監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の承認を得ています
  • 当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・ 諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保および適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を促進するため、内部統制システムの強化・充実に努めており、内部監査は、独立した立場から内部統制の有効性を評価します
  • 内部監査では、潜在的なリスク(エマージング・リスク)や環境および事業戦略の変化に応じた新たな監査領域への対応を進めるべく、リスク・マネジメント領域への監査対応の充実強化やグローバルな監査対応を推進しています

内部統制委員会:野村グループの業務に係る内部統制、監査活動およびリスク管理等に関する重要事項を審議する。グループCEO、グループCEOが指名する者、監査委員会が選定する監査委員および取締役会が選定する取締役から構成される